ゲスト スピーカー |
安達 哲也 氏
(新日本有限責任監査法人 金融部) |
テーマ |
「金融危機後のマルチ・カーブ・バリュエ−ションと信用リスク評価」 |
講演概要 |
サブプライム/リーマンショックをはじめとする金融危機後においては、Libor/Swap等市場金利とOIS (Overnight Index Swap)
等の翌日物金利スワップとの間のスプレッドが急拡大しており、Libor/Swapが「リスク・フリー」として定義できなくなってきている。その他にも、異なるテナー(3カ月,6カ月,12カ月等)間の金利スワップ(ベーシス・スワップ)や異なる通貨間の金利スワップ(クロス・カレンシー・スワップ)のベーシス・スプレッドも急拡大しており現在もまだ収束していない。
このように、金融危機後の金利市場はそのテナーや通貨によって、一種の「分断(segmentation)」状態にあり、どの金利を用いてディスカウント・カーブを構築するか(=確率測度の決定)によって、金融商品の価値が大きく変わる可能性を秘めている。すなわち、Libor/Swap によるイールド・カーブを一本だけ構築すれば、すべての金融商品の公正価値算定やリスク管理ができるといった、従来の評価実務が現実にフィットしなくなってきており、これら金利市場の分断状態に対処するためには、複数のイールド・カーブを構築し、それぞれの商品の特性にあったイールド・カーブを用いて公正価値評価やリスク管理を行うといった実務対応が必要になってきている。 実際に、欧米巨大金融機関を中心に、マルチ・カーブによる評価実務が浸透しつつあるように見受けられる。
また、イールド・カーブと共に、OTCデリバティブの評価に欠かせないのがカウンターパーティのCVA(Credit Valuation Adjustment)やDVA(Debt Valuation Adjustment)等の評価調整であり、特に実務上の取扱いが困難とされているのが、「担保(collateral)」の問題である。 例えば、全ての期間において100%の担保が連続的に確保できていれば問題は比較的簡単であるが、損失の限度額を超えた場合に差し入れなければならない追加担保は現実的には時間上連続的に差し入れられるわけではなく、タイム・ラグを伴う。このタイム・ラグの最中にポートフォリオ価値が大きく変動して巨額な損失を被る可能性がある。このようなリスクを Margin Period of Risk (MPR)と呼ぶ。このようなリスクのモデル化も、最近の実務上の研究トピックとなっている。
本講演では、実務上で最新の話題となっている、金融危機後のマルチ・カーブ・バリュエ―ション(OISディスカウンティング)と信用リスク評価(CVA,DVA,担保の取扱い)について、バーゼル規制(BaselV)及び会計規制(IASB,
FASB)上の取扱いに触れながら、評価実務上の問題点及びこれに対する最近の実務上の研究結果について概説する。 |
日時 |
2012年2月10日(金) 19時00分〜20時45分 |
会場 |
Galleria商.Tokyo(千葉商科大学丸の内サテライトキャンパス)(東京都千代田区丸の内3-1-1 国際ビル1F)
(セミナールーム A&B)
JR「有楽町駅」より徒歩2分
東京メトロ有楽町線「有楽町駅」直結
都営地下鉄三田線「日比谷駅」直結 |
申し込み先 |
総務担当理事 川崎能典まで下記要領にてお申し込み下さい. |