ゲスト スピーカー |
公文 雅之 氏
(統計数理研究所 リスク解析戦略研究センター 融合プロジェクト特任研究員) |
テーマ |
「資産取引ゲームにおける最適戦略:Kelly criterion をめぐって」 |
講演概要 |
賭けゲームにおける利得の期待値が無限大という,いわゆる聖ペテルスブルグのパラドックスに関するダニエル・ベルヌーイの萌芽的研究から200年以上経て,C. E. シャノンが創始した情報理論に示唆を得た John L. ケリーにより,確率論的枠組を用いた賭けゲームにおける最適戦略の定式化がなされました.この定式化は「ケリー基準」それから導かれる最適な一定賭け比率戦略は「ケリー公式」と呼ばれており,情報理論研究者T. M. コバーによるユニバーサル・ポートフォリオへと発展しています.
一方通常の確率論を前提とせずに,確率やファイナンスの問題を「賭けをする人」と「自然」との間のゲームとして定式化するアプローチが,近年G. シェイファーと V. ウォフクによって提唱されています.また竹内 啓先生は,賭けゲームにおける最適戦略数理の構造という視点から,確率やファイナンスに対する新たな体系を展開されています.
この講演ではケリー基準に関する歴史的経緯を含めて,竹内先生が考案された連続時間資産取引ゲームにおける最適戦略について紹介します.この最適戦略は,ベイズ的ケリー基準のもとで高頻度指値取引により資産価格のマルコフ的動向を捉えることで,いわゆるモーメンタム戦略およびコントラリアン戦略をともに内包する構造をもっていることを,実際の市場データによる分析を交えながら紹介していきます.
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日時 |
2008年2月5日(火) 19時00分〜20時00分 |
会場 |
情報・システム研究機構 統計数理研究所 (港区南麻布 4-6-7)
研修室 (新館2F) |
申し込み先 |
総務担当理事 川崎能典まで下記要領にてお申し込み下さい. |