日 時 |
2018年7月21日(土) 10:35-17:10 |
会 場 |
慶應義塾大学三田キャンパス南校舎445教室 〒108-8345 東京都港区三田2-15-45 [田町駅(JR山手線/JR京浜東北線)徒歩8分, 三田駅(都営地下鉄浅草線/都営地下鉄三田線)徒歩7分 赤羽橋駅(都営地下鉄大江戸線)徒歩8分] https://www.keio.ac.jp/ja/ |
午前の部 : 座長 川崎 能典(統計数理研究所) 報告35分,討論・質疑応答15分,計50分 |
■ 10:35-11:25 |
「Nowcasting gross domestic product in Japan using professional forecasters’
information」 飯塚 信夫(神奈川大学経済学部) |
コメンテーター:田中 晋矢(青山学院大学経済学部) |
■ 11:25-12:15 |
「個人企業向けクレジットスコアリングモデルにおける業歴の有効性」 尾木 研三*(㈱日本政策金融公庫国民生活事業本部) 内海 裕一(㈱日本政策金融公庫国民生活事業本部) 枇々木 規雄(慶應義塾大学理工学部管理工学科) |
コメンテーター:田上 悠太(統計数理研究所リスク解析戦略研究センター) |
■ 12:15-13:15 |
昼食/理事会(慶應義塾大学三田キャンパス南校3階 社中交歓 萬來舍) |
■ 13:15-13:30 |
総会(慶應義塾大学三田キャンパス南校舎445教室) |
午後第1部 : 座長 西山 昇(Dragons’ Desk Ltd./千葉商科大学) |
■ 13:30-14:20 |
「ディープラーニングを用いた債券投資戦略」 稲葉 裕一(SMBC日興証券株式会社金融経済調査部) |
コメンテーター:三原 千尋(NTTデータ・フィナンシャル・ソリューションズ) |
■ 14:20-15:10 |
「人工知能による日経平均ボラティリティー・インデックスの予測」 南 正太郎(あすかアセットマネジメント株式会社) |
コメンテーター:三原 千尋(NTTデータ・フィナンシャル・ソリューションズ) |
午後第2部 : 座長 阿竹 敬之(SMBC日興証券株式会社) |
■ 15:30-16:20 |
「SDGs指数及びSDGs指数を原資産とする債券の分析」 森平 爽一郎(慶應義塾大学名誉教授) 伊藤 晴祥*(国際大学国際経営学研究科) |
コメンテーター:山田 雅章(アーネストワン) |
■ 16:20-17:10 |
「財務データの可視化による企業活動の実態解明とSDGsへの課題」 阪 智香*(関西学院大学商学部) 地道 正行(関西学院大学商学部) |
コメンテーター:伊藤 晴祥(国際大学国際経営学研究科) |
記号*は,複数著者による発表での,実際の登壇者を意味します. |
「Nowcasting gross domestic product in Japan using professional forecasters’
information」 飯塚 信夫(神奈川大学経済学部) |
This study proposes a new framework for nowcasting, the prediction of the
present, the very near future, and the very recent past. Most previous
research use a dynamic factor model (DFM) and insist that it is the best
method for nowcasting. However, the DFM takes considerable time and effort
and for Japanese GDP, the forecast result with DFM is not necessarily good
(Bragoli, 2017). We use professional forecasters’ information instead.
In this study, we combine professional forecasters’ information with single-equation
approaches, such as bridge equations (BEQ) and mixed data sampling (MIDAS)
regressions. We use cross-sectional disagreement among forecasters in the
ESP forecast survey, which is the first monthly survey of macroeconomic
forecasts conducted by professional forecasters in Japan. |
「個人企業向けクレジットスコアリングモデルにおける業歴の有効性」 尾木 研三*(㈱日本政策金融公庫国民生活事業本部) 内海 裕一(㈱日本政策金融公庫国民生活事業本部) 枇々木 規雄(慶應義塾大学理工学部) |
中小企業向けのクレジットスコアリングモデルは、財務指標とデフォルトとの相関関係を利用したロジスティック回帰モデルが主流である。ただ、個人企業は決算書がなく、その代わりとなる税務申告書に貸借対照表(B/S)を添付していない企業も多く、法人企業に比べてB/Sに関する情報が不足している。モデルの精度を上げるには、資産や負債などB/Sに関する客観性の高い変数を投入することが有効であると考えられるが、個人企業の多くは家族経営で別収入があるなど、家計と事業の会計が混在しているため、資産や負債の把握は極めて困難である。先行研究をみると、尾木・戸城・枇々木(2016)は、業歴別デフォルト率は経営者の個人資産の代理変数であることを示した。そこで、本研究では、尾木ら(2016)の分析を参考にして、個人企業の資産の代理変数として業歴別デフォルト率を定式化した業歴関数をモデルの変数に投入することを考えた。日本政策金融公庫国民生活事業本部が保有する約80万件のデータを用いて分析した結果、個人企業の業歴別デフォルト率は法人企業とは異なる特徴があり、法人企業で有効性が確認された3次関数よりも、業歴4年以下と4年超25年以下、25年超で3区分した線形関数を用いることが有効であることがわかった。この業歴関数を投入すると、AR値は最大で9.4%ポイント改善することを確認した。 |
「ディープラーニングを用いた債券投資戦略」 稲葉 裕一(SMBC日興証券株式会社金融経済調査部) |
日本国債先物(JGB Future)の値動きにおいて、時系列に基づく予測可能性が存在するか、深層学習(Deep Learning)を用いて構築した運用モデルのパフォーマンスを通じて検証した。本研究で構築したモデルは、予測期間中の騰落を直接予測する方法を取らずに時系列における位置関係を推測する方法をとったこと、過去の値動きの経路を時間の流れを持って取扱うことが可能なニューラルネットとしてRNN(Recurrent
Neural Net)の派生であるLSTM(Long Short Term Memory)を採用したことが特徴である。加えて、運用の実行可能性を考慮し、数日レベルの予測可能性を検証していることも実務的な観点からは当研究のポイントと言える。過去10年超の価格時系列を用いてモデルのパラメータを学習し、モデルが出力するシグナルに基づく運用戦略のパフォーマンスを見たところ、直近1年程度のアウトオブサンプルテストでもプラスのパフォーマンスが得られた。 |
「 人工知能による日経平均ボラティリティー・インデックスの予測」 南 正太郎(あすかアセットマネジメント株式会社) |
高いリターンを追求すればリスクも高くなる。積極的に高いリターンを追求したいヘッジファンドにおいては、市場のリスクの大きさを知ることは重要な情報の一つである。なぜならば、ボラティリティーが大きい環境でこそ、マネージャの銘柄選定力やトレード技術などのスキルがアルファとして現れるかが試されるからである。市場のリスクの大きさを図る指標として、日本経済新聞社から日経平均ボラティリティー・インデックスが公表されており、これは将来の日経平均株価の変動の大きさがどのくらいなのかについて市場(投資家)がどのように考えているかを示したものである。本稿では、ディープラーニングと呼ばれる人工知能手法であるLSTM-RNNを用いて日経平均ボラティリティー・インデックスの予測を行った。分析結果によれば、線形予測モデルよりも予測精度が高くなる可能性が示唆された。 ※本報告は「先物・オプションレポート(大阪取引所)」2018年2月掲載論文に基づくものです。 |
「SDGs指数及びSDGs指数を原資産とする債券の分析」 森平 爽一郎(慶應義塾大学名誉教授) 伊藤 晴祥*(国際大学国際経営学研究科) |
本研究ではSDGsを達成するために必要な指数を考察するために、すでにSolactive社から提供されているSDGsに関連した指数(Solactive Sustainable Development Goals World Indexや、Solactive Sustainable Development Goals World Index (USD) RC10など、以下SDGs指数)についてどのような性質を持っているか、統計分析により明らかにする。その結果、SDGs指数は、国際的な多角化投資や現金をポートフォリオに組むなどのボラティリティーを減少させる工夫をしており、下方リスクがうまくヘッジされており、あたかもプットオプションを内包しているような性質を有していることが理解される。さらに本研究では、SDGs指数を原資産とする世界銀行が発行した債券の価値分析を行う。SDGs債券の分析から、すでにオプションが内包されている性質を持つ指数を原資産として、さらに複雑な仕組みを組み込んだ債券の構築が、SDGs達成へインセンティブを必ずしも与えるものではなく、SDGs達成のためには新しい指数やスキームを構築することが重要であることが理解される。
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「財務データの可視化による企業活動の実態解明とSDGsへの課題」 阪 智香*(関西学院大学商学部) 地道 正行(関西学院大学商学部) |
経済社会のサステナビリティ(持続可能性)を確保するためには、グローバルレベルで企業活動を解明し、それが生み出す様々な社会的課題を解決することが欠かせない。本報告では、国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の「Sustainable
Development Goals(持続可能な開発目標)」(SDGs)から複数の目標を取り上げ、それに関連する企業活動の実態の証拠と、課題を提示する。世界の全上場企業の財務データ(ビューロー・ヴァン・ダイクのデータベースOsirisから抽出した148カ国・30年間超・86系列の財務指標データ)を利用し、探索的データ解析(Exploratory
Data Analysis)とダイナミックでインタラクティブ(双方向)な可視化(Visualization)により、データ自身のもつ情報を探索的に引き出し、隠れた真実をデータに語らせる。本報告では、社会における企業の存在の大きさを確認した上で、①企業の国際・国内格差、②付加価値の分配:労働者vs投資家、③企業の租税回避、の3つの論点を扱う。 |