第34回応用経済時系列研究会・研究報告会




2017年11月18日(土)  10:30-17:10

リファレンス 新有楽町ビル貸会議室Y203
(東京都千代田区有楽町1-12-1新有楽町ビル2F)
[JR有楽町駅 中央西口/日比谷口より徒歩1分、地下鉄有楽町線有楽町駅 D2出口連絡、地下鉄都営三田線日比谷駅 B1またはB2出口より3分、
地下鉄日比谷線・千代田線日比谷駅 A6出口より3分]
http://tokyo.re-rental.com/yurakucho/ 


参加申し込み方法については別途こちらをご覧下さい

プログラム

午前の部 : 座長 川崎 能典(統計数理研究所)  報告35分,討論・質疑応答15分,計50分

10:30-11:20
「北朝鮮リスクの日本株式市場への影響-AIベースのリスクモデルは何を語るのか?」
西山 昇(Dragons' Desk Ltd./千葉商科大学)
コメンテーター:笛田 薫(滋賀大学)
11:20-12:10
「Global Bond Market Interaction using Regime-Switching Dynamic Term Structure Model」
小林 武(名古屋商科大学経済学部)
コメンテーター:石島 博(中央大学)
■ 12:10-13:10
昼食/理事会(リファレンス 新有楽町ビル貸会議室Y206)


午後第1部 : 座長 阿竹 敬之(SMBC日興証券)

13:10-14:00
「機械学習を用いた円金利分析とその応用可能性」
稲葉 裕一(SMBC日興証券金融経済調査部)
コメンテーター:中妻 照雄(慶應義塾大学)
14:00-14:50
「経験類似度に基づくボラティリティの推定と予測」
森本 孝之*(関西学院大学理工学部)
川崎 能典(統計数理研究所)
コメンテーター:青木 義充((株)QUICK)

午後第2部 : 座長  西山 昇(Dragons' Desk Ltd./千葉商科大学)

15:05-15:55 
「切断実現ボラティリティの推定と観測時間間隔-日本株式による実証分析-」
吉田 靖(東京経済大学経営学部)
コメンテーター:山田 雅章(アーネストワン)
15:55-16:45 
「Forecast disagreement and Business cycles-Evidence from 12 years of ESP Forecast Surveys in Japan」
飯塚 信夫(神奈川大学経済学部)
コメンテーター:後藤 康雄(成城大学)
■ 16:45-17:10 
総会(リファレンス 新有楽町ビル貸会議室Y203) 

記号*は,複数著者による発表での,実際の登壇者を意味します.





要旨

北朝鮮リスクの日本株式市場への影響-AIベースのリスクモデルは何を語るのか?
西山 昇(Dragons' Desk Ltd.)
EMアルゴリズムがもつAI的な側面にフォーカスする。実証分析として過去数ヶ月間の北朝鮮の地政学的に不安定な状況に対する日本株ポートフォリオのリスクエクスポージャーに注目する。GARCHプロセスを統合したEMアルゴリズムを使用するモデルは日本株式市場のどの潜在ファクターがミサイル発射リスクと関連しているのかを識別し、近い将来のポートフォリオに与えるリスクを予測する。

Global Bond Market Interaction using Regime-Switching Dynamic Term Structure Model
小林 武(名古屋商科大学経済学部)
The globalization process has significant impact on the world bond market. Global term structure dynamics are investigated by using a hierarchical factor model. We examine advanced countries and developing countries during 2003-2017 which focus on Asian sovereign bonds market which have increased steadily. We use a state space model to extract the global factor. The results indicate yield curves of some countries possess their own dynamic while the other countries yield curves are strongly influenced by global level and slope factors. Regime switching extension of the global yield curve model are also developed. In this model, the volatilities of global factor shift switch between two regimes. A previous method is implemented to construct likelihood function and unknown parameters. We show how the linkage between the global factor and country specific factors differs across two bond market volatility regimes.
Keyword: Term Structure Model, Global Factor, regime switching
機械学習を用いた円金利分析とその応用可能性
稲葉 裕一(SMBC日興証券金融経済調査部シニアクオンツアナリスト)

債券市場分析において毎朝の金利予想は一般的な業務である。当該業務においては方向感予想とレンジ予想がよく示されるが、特に前者の予想は前日以降に得られた情報を基に人の手を介したある種の判別分析であると考えられる。本稿では、この予想プロセスを機械学習により部分的に代替する枠組みを提案し、簡便な計算を通じてその可能性を探った。その際、本邦金利の動向を占う上で海外金利動向が参考にされ易いことを踏まえ、過去の米・独イールドカーブ(金利の期間構造)の変化と本邦金利の反応からSVMによるパターン学習を行い、その結果に従う予想パフォーマンスを確認した。本稿分析時点までに得られた予想パフォーマンスが堅調に見えることからは、本枠組みの可能性とともに、本邦金融政策が大きく変わる中でも海外金利動向が本邦債券における日々の価格形成に対して依然として影響を与えていること等が示唆される。また、本枠組みの利点として、単一年限の金利予想に偏りがちな予想業務を複数年限に対して容易に拡張できること、予想とその結果を事後的に評価し易いこと等があげられる。そこで、本稿後半では今回用いた手法により得られた予想の時系列的な傾向を踏まえ、債券投資戦略への応用についても考えた。

経験類似度に基づくボラティリティの推定と予測
森本 孝之*(関西学院大学理工学部)
川崎 能典(統計数理研究所)
事例ベース意思決定理論に基礎を置いた経験類似度 (Empirical Similarity) の概念 (Gilboa et al., 2006 および Gilboa et al., 2011) を適用することにより,異なるモデルから生じるボラティリティ予測値を結合する.経験類似度の枠組みでは,意思決定者が予測モデルや予測値の尤もらしさに関する確率評価を行わずに,専ら類似性のみに依拠して将来を予測することができる.具体的には,過去のモデル予測値と対応するボラティリティの実現値との距離を定量化することによって,予測の組合せの重みを決定する.本報告では,Golosnoy et al. (2014) により提案された経験類似度によるモデル組合せ手法に基づき,経験類似度モデルから得られたボラティリティの予測値とその他時系列モデルの予測値とを実証的に比較する.モデルの予測力比較については,Hansen et al. (2011) が提案した誤差関数に基づくモデル信頼集合 (Model Confidence Set) を用いることにより,複数の銘柄と推定予測期間におけるモデルの予測力を順位付けし,最良モデルの累積頻度を分析し評価する.
切断実現ボラティリティの推定と観測時間間隔-日本株式による実証分析-
吉田 靖(東京経済大学経営学部)
株式市場の高頻度データの分析において,ジャンプの存在は多くの研究が指摘しており,ジャンプを考慮したボラティリティの推計が課題となっている.解決策の一つとして,切断実現ボラティリティがあり,本稿では,2014年7月22日から10月27日までの東京証券取引所のTOPIX100構成銘柄の高頻度データを使用して,切断実現ボラティリティの計測を行った.観測時間間隔は5秒から1800秒としている.その結果,大半の株式において,実現ボラティリティに占める切断実現ボラティリティの比率は半分未満であり,株価の変動にはジャンプの影響が大きいことを示す結果となった.しかし,観測時間間隔を短くするに従って切断実現ボラティリティが小さくなる現象も同時に観測され,この要因の一つとしてゼロリターンによる影響を示唆する結果も得られた.さらに,その他の構造的な要因が残されている可能性も大きく,切断実現ボラティリティを正確に計測するための観測時間間隔と閾値の最適な選択には課題があることを指摘した.
キーワード:切断実現ボラティリティ,高頻度データ,ジャンプ拡散過程,観測時間間隔,マイクロ・プライス,TOPIX100

Forecast disagreement and Business cycles-Evidence from 12 years of ESP Forecast Surveys in Japan
飯塚 信夫(神奈川大学経済学部)
We examine the predictive power of forecast disagreement---the cross-sectional dispersion of individual forecasts---for key economic indicators. Using the ESP forecast survey, the first monthly forecast survey in Japan, we generate monthly disagreement and forecasting error series and test Granger causality between two series. Overall, disagreement does not have predictive power. Disagreement in the GDP growth rate does not cause forecasting error, though forecasting error causes GDP growth rate. Disagreement in the CPI inflation rate with a longer horizon causes forecasting error, which was affected by the introduction of the quantitative qualitative monetary easing policy by the Bank of Japan.

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