日 時 |
2011年6月25日(土) 10:30-17:00 |
会 場 |
立教大学 池袋キャンパス 12号館第1・2会議室 東京都豊島区西池袋3-34-1 (JR 山手線・埼京線・高崎線・東北本線・東武東上線・ 西武池袋線・地下鉄丸ノ内線・有楽町線「池袋駅」下車。 西口より徒歩約7分。) |
午前の部 : 座長 川崎 能典(統計数理研究所) 報告35分,討論・質疑応答15分,計50分 |
■ 10:30-11:20 |
「ブランド最購入考慮率の分布とダイナミクスに関する研究」 綿貫 真也(株式会社ジャパン・カンター・リサーチ) |
コメンテーター:伴 正隆(目白大学) |
■ 11:20-12:10 |
「景気判断と平滑化問題:GDP公表値を巡って」 佐藤 整尚*(統計数理研究所) 国友 直人(東京大学) |
コメンテーター:勝浦 正樹(名城大学) |
■ 12:10-13:10 |
昼食/理事会(立教大学 池袋キャンパス 12号館第3会議室) |
■ 13:10-13:25 |
総会 (立教大学 池袋キャンパス 12号館第1・2会議室) |
午後第1部 : 座長 西山 昇(東京工業大学) |
■ 13:25-14:15 |
「多期間最適円金利投資戦略について〜Approximate Dynamic Programmingの適用」 飯沼 邦彦(総合研究大学院大学/UBS証券東京支店) |
コメンテーター:門田 伸一(エーオン・ヒューイット・ジャパン) |
■ 14:15-15:05 |
「人工市場を用いた空売り規制による株式市場の影響分析」 八木 勲*(神奈川工科大学 情報学部) 水田 孝信(スパークス・アセット・マネジメント 株式会社) 和泉 潔(東京大学 工学系研究科) |
コメンテーター:笛田 薫(岡山大学) |
午後第2部 : 座長 笛田 薫(岡山大学) |
■ 15:20-16:10 |
招待講演「回帰モデルにおける非線形性のニューラル・ネットワーク検定とそのボラティリティ時系列モデリングへの応用」 石田 功(大阪大学金融・保険教育研究センター) |
コメンテーター:川崎 能典(統計数理研究所) |
■ 16:10-17:00 |
招待講演「IFRSにおける確定給付企業年金の長寿リスクの開示と死亡率モデルの役割について」 藤澤 陽介(ライフネット生命保険株式会社) |
コメンテーター:井川 孝之(みずほ総合研究所) |
記号*は,複数著者による発表での,実際の登壇者を意味します. |
「ブランド最購入考慮率の分布とダイナミクスに関する研究」 綿貫 真也(株式会社ジャパン・カンター・リサーチ) |
当該ブランドが消費者に選択してもらうためには、まずは当該ブランドが最購入考慮の対象とならなければならない。そのために、ブランド最購入考慮率は、あらゆるマーケティング戦略の目標となっている。よって、ブランド最購入考慮率の予測することはマーケティング戦略の管理上重要なイッシューである。そのためには、ブランド最購入考慮率のダイナミクスを捉えることが必要なるが、これまで、ブランドの最購入考慮率のダイナミクスを考察した研究は少ない。そこで、本研究の目的は、19カ国、2005年から2010年までのブランド最購入考慮率に関する調査結果を用いて、そのダイナミクスを明らかにすることにある。 具体的なアプローチとしては、ブランド最購入考慮率の経験分布から理論分布へのフィッティングを、各年度で行い、最適な理論分布を探索する。さらに、前年のブランド最購入考慮率の大きさと対数成長率との関係性を考察することで、成長率のサイズ依存性に関して検討を加える。以上の分析から、ブランド最購入考慮率において想定し得る確率過程に関して考察する。 |
「景気判断と平滑化問題:GDP公表値を巡って」 佐藤 整尚*(統計数理研究所) 国友 直人(東京大学) |
GDPは景気を見る上で重要なもののひとつである。その公表値を見る上でよく使われるのが季節調整済み系列の前期比伸び率年率換算値であるが、しばしば、ブレが大きいことが問題となっている。本報告ではこれらに対する新しい見方を提案する。
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「多期間最適円金利投資戦略について〜Approximate Dynamic Programmingの適用」 飯沼 邦彦(総合研究大学院大学/UBS証券東京支店) |
今後,金融機関に課されるリスク管理規制の厳格化,国際会計基準導入による経済価値での資産負債の評価導入を想定し,この差異としてのサープラスを数年後に最大化させるための各年限の円金利投資戦略についての多期間動的計画問題を考える.
金利モデルとして,イールドカーブの各年限の実際の変動を再現させるために主成分確率ボラティリティモデルを導入する.多期間動的計画問題に対し“次元の呪い”に対する対処としてApproximate Dynamic Programming法を適用する.同手法のバックワード計算において,新たなアルゴリズムを提案する.これらに基づき,過去の日本の実データに基づきMyopic最適化手法と比較した実証分析を行い,本提案が実際の適用に有効であることを示す. |
「人工市場を用いた空売り規制による株式市場の影響分析」 八木 勲*(神奈川工科大学 情報学部) 水田 孝信(スパークス・アセット・マネジメント 株式会社) 和泉 潔(東京大学 工学系研究科) |
リーマンショックや東日本大震災のような予期しない出来事により株式市場が混乱し,株価が急落することがある.このような株価急落による市場不安定化を抑止する手段の一つとして空売り規制がある.これまでにも空売り規制が市場に与える影響を分析した研究は多く行われてきた.しかし,これらは実証分析が主であり,市場の内部で起きているメカニズムについては言及されていない.そこで本研究では,現実の金融市場を計算機上で模倣した市場(人工市場)を用いて,空売り規制が株式市場安定化にどのような効果をもたらすかを市場内部メカニズムの観点から検証した.はじめに,空売り規制期間と市場の安定性の関係について分析し,規制期間が長くなればなるほど,バブル発生回数が増加し,市場が不安定になることを示した.次に,リスク資産率と市場効率性,安定性の関係について議論した.その結果,リスク資産率が小さいとき,規制なし市場は安定的となるのに対し,規制あり市場は不安定となることを示した.一方,リスク資産率が大きいとき,規制なし市場では市場が非効率となるのに対し,規制あり市場では市場が効率的となることを示した.最後に突発的な事象により理論株価が大きく下落したときの市場の状況についても検討を行った. |
「回帰モデルにおける非線形性のニューラルネットワーク検定とそのボラティリティ時系列モデリングへの応用」 石田 功(大阪大学 金融・保険教育研究センター) |
先行研究における回帰モデルのneglected nonlinearityのニューラルネットワーク検定は2つのタイプの線形性の帰無仮説のどちらか一方を分析するものであったが、Cho et al. (Neural Computation 23, 1133-1186 (2011))は両者を同時に考慮するより一般的なニューラルネットワーク・ベースの疑似尤度比検定を提案した。当発表では、Cho et al.の検定や他のニューラルネットワーク検定をサーベイするとともに、そのボラティリティ時系列モデリングへの応用結果について報告する。 * 以下の既刊論文に基づく招待講演です。 Cho, Jin Seo, Ishida, Isao and White, Halbert (2011) "Revisiting Tests for Neglected Nonlinearity Using Artificial Neural Networks ", Neural Computation, Vol. 23, No. 5, Pages 1133-1186 |
「IFRSにおける確定給付企業年金の長寿リスクの開示と死亡率モデルの役割について」 藤澤 陽介(ライフネット生命保険株式会社) |
本稿では、International Accounting Standards Boardでの確定給付企業年金の長寿リスクの開示に関する議論を踏まえ、死亡率モデルを用いた長寿リスクの定量化と、長寿リスクの開示方法に関する考察を行っています。 * 以下の既刊論文に基づく招待講演です。 Fujisawa, Yosuke and Li, Johnny Siu-Hang (2010) "IFRS Convergence: The Role of Stochastic Mortality Models in the Disclosure of Longevity Risk for Defined Benefit Plans," Asia-Pacific Journal of Risk and Insurance: Vol. 5: Iss. 1, Article 2. Abstract: In recent years, the International Accounting Standards Board (IASB) and its International Financial Reporting Standards (IFRSs) have made great strides toward achieving global accounting convergence. Various countries, including Japan and Canada, are either adopting or converging their national standards with IFRSs. The IASB is now undertaking a comprehensive review of the accounting standards on post-employment benefits, an important part of which is about quantitative disclosures of longevity risk. In this paper we examine how stochastic mortality models may assist with such disclosures. Specifically, we present three concepts that can help defined benefit plans identify the materiality of their longevity risk exposures: (1) longevity value-at-risk, (2) probability of longevity deficit, and (3) the probabilistic corridor rule. We illustrate these concepts with a hypothetical pension plan in Japan. |