2008年度 応用経済時系列研究会
チュートリアルセミナー


地球温暖化と金融テクノロジーの新展開
〜金融工学は地球環境を救う?〜




チュートリアルセミナー 2008年10月2日(木)  18:30-20:30

三菱ビル コンファレンススクエア エムプラス[三菱ビル1階 会議室名:サクセス]
東京都千代田区丸の内2-5-2 三菱ビル  http://www.marunouchi-hc.jp/emplus/index.html
☆JR「東京駅」(丸の内南口)徒歩約2分、京葉線「東京駅」10番出口より直結
地下鉄 
  千代田線「二重橋前駅」4番出口徒歩約2
   丸ノ内線「東京駅」地下道経由徒歩約3
  都営三田線「大手町駅」D1出口徒歩約4
  東西線「大手町駅」B1出口徒歩約6

会場は三菱ビルコンファレンススクエア・エムプラスとなっておりますので、お間違えのないようご注意下さい。

参加申し込み方法については別途こちらをご覧下さい.

本年7月の洞爺湖サミットにおいては、環境問題への取り組みが主要テーマであったことは記憶に新しいところでありますが、その解決への鍵となる手法のひとつとして、排出権取引が関心を集めています。そこで今回は、環境問題と金融工学の接点をテーマにお二人の講師をお招きし、本郷尚氏(国際協力銀行)には低炭素社会の実現に向けた排出権取引の現状と展望について、大山篤之氏(ニッセイ基礎研究所)には金融工学的視点から環境経済学の問題を取り上げてご講演いただきます。
会員の皆様のご参加をお待ちしております。


■■チュートリアルセミナー・プログラム■■

(各講演50分+質疑応答10分を目安に進行します)
座長: 川崎 能典(統計数理研究所)
18:30-19:20 本郷 尚(国際協力銀行)
「低炭素社会実現と排出権取引」
19:20-19:30 質疑応答
19:30-20:20 大山 篤之(ニッセイ基礎研究所)
「不確実性下における戦略的な環境政策」
20:20-20:30 質疑応答

概要

本郷 尚(国際協力銀行)
「低炭素社会実現と排出権取引」
環境サミットと呼ばれた洞爺湖サミットを終えて早や2ヶ月。2012年以降の枠組作りを巡る国際交渉は国益が対立し難航しているが、着実に低炭素社会への移行の必要性は認識され、具体的アクションがとられようとしている。温暖化対策に必要となる資金は膨大であり、かつアクションは急を要する。民間資金の活用が重要であり、その手法の1つが排出権取引。今後の制度作りの展開の見通し、価格変動の背景の他、省エネ再生可能エネルギー事業推進の観点から排出権取引の活用、今やブームとも言えるカーボンフットプリントのオフセットなどについて説明する。
また、熱帯雨林の伐採などにより森林は減少、大量の二酸化炭素を放出している。これまでの公共事業的アプローチでは資金の面で限界があり、この分野をおいても排出権の活用が期待されていて新しい仕組みを簡単に紹介。
世界は低炭素社会に担っており、社会経済システムの変革と膨大な投資が求められ、そしてその主役は民間だ。企業はCO2戦略をたてリスク対策と同時に新しいビジネスモデル構築をしなければならない。
大山 篤之(ニッセイ基礎研究所)
不確実性下における戦略的な環境政策
金融工学の理論と手法を環境経済学の問題へ適用したモデルを講演する。環境の退廃の経済学的影響に対し、本来備わっている不確実性や不可逆性のために環境政策は実行するタイミングが問題となり、これは金融工学におけるアメリカンオプションと同じ構造を持っていることが一般的に知られている。本講演で発表するモデルは、@「Timing an Environmental Policy Optimally under Economics Considerations」とA「Irreversible Costs and Carbon Leakage」である。@は、汚染排出量と経済規模には正の相関があることに着目し、汚染物質が経済に与える影響度合いばかりか経済規模をも考慮に入れ、最適な環境政策実施のタイミングを探るモデルである。また、Aは、2つの代替的な投資案件のうち1つを選択するような状況下での意思決定を分析したDecamps et al. (2006)をベースにし、汚染の排出削減が困難な産業の途上国への流出というカーボンリーケージの問題をモデル化したものである。



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