日 時 |
2004年6月5日(土) 10:00-17:00 |
会 場 |
情報・システム研究機構 統計数理研究所 東京都港区南麻布 4-6-7 (東京メトロ 日比谷線・広尾駅[H03]下車徒歩7分) |
午前の部 : 座長 山田 雅章 (UFJつばさ証券 ) 報告30分,討論・質疑応答15分,計45分 |
■ 10:00-10:45 |
「信用ポートフォーリオモデルにおける潜在変数の相関構造の影響
−多変量tモデルとファクターtモデル−」 北野 利幸 (東京工業大学大学院 社会理工学研究科) |
コメンテーター:安川 武彦 (中央青山プライスウォーターハウス
クーパース・ファイナンシャル・アンド・リスク・マネジメント) |
■ 10:45-11:30 |
「ミニ公募地方債の価格算出」 本山 真(日興フィナンシャル・インテリジェンス(株) 投資工学研究所) |
コメンテーター:柿本 与子 (スタンダード&プアーズ) |
■ 11:30-12:15 |
「生産関数の統計的推測に基づく倒産企業の効率性分析」 小西 葉子* (日本学術振興会特別研究員) 西山 慶彦 (京都大学経済研究所) 安道 知寛 (九州大学大学院数理学府) 川崎 能典 (統計数理研究所) |
コメンテーター:後藤 康雄 (三菱総合研究所) |
■ 12:15-13:15 |
理事会 (統計数理研究所・特別会議室) |
■ 13:15-13:45 |
総会 (統計数理研究所・講堂) |
午後第1部 : 座長 西山 昇 (朝日ライフ アセットマネジメント) |
■ 13:45-14:30 |
「金融市場における動的な因果関係の検出」 田野倉 葉子* (総合研究大学院大学) 北川 源四郎 (統計数理研究所) |
コメンテーター:塩路 悦郎 (横浜国立大学 経済学部) |
■ 14:30-15:15 |
「NIG 分布を用いたオプションの価格付け」 河合 研一 (広島大学大学院社会科学研究科) |
コメンテーター:川崎 能典 (統計数理研究所) |
午後第2部 : 座長 青沼 君明 (三菱証券) |
■ 15:30−16:15 |
"A Note on Tests of Multivariate Density Forecasts" 石田 功 (東京大学大学院 経済学研究科) |
■ 16:15−17:00 |
"Consumption and Portfolio Decisions in an Economy with Jump and Volatility Risk" 安達 哲也 (日興コーディアル証券 投資運用室) |
コメンテーター:中村 信弘 (一橋大学大学院 国際企業戦略研究科) |
記号*は,複数著者による発表での,実際の登壇者を意味します. |
「信用ポートフォーリオモデルにおける潜在変数の相関構造の影響
−多変量tモデルとファクターtモデル−」 北野 利幸 (東京工業大学大学院 社会理工学研究科) |
信用ポートフォリオの評価に当たって,デフォルト相関のモデル化はその中心的課題の一つである.
債務者の信用力を代理する潜在変数がある閾値を下回った状態をデフォルト状態とする「潜在変数法」は普及している方法の一つであるが,
潜在変数の相関構造を如何に考えるかが問題となる.現状では,相関行列と周辺デフォルト確率によって簡便にデフォルト相関が記述される多変量正規モデルが普及している.
本報告では,潜在変数のモデルとして一般的な,多変量正規モデルからの自然な発展形となる,先行研究である多変量tモデルと発表者の提案するファクターtモデルの説明と比較を行い,
それぞれが必要とする前提条件と,モデルへの適用に当たっての留意点について議論する.また主にファクターtモデルでの計算により,
依存構造を持つ潜在変数が損失分布に対して及ぼす影響のメカニズムを見る. |
「ミニ公募地方債の価格算出」 本山 真 (日興フィナンシャル・インテリジェンス(株) 投資工学研究所) |
昨今ミニ公募債の発行が増加している.1銘柄当たりの発行額は少ない場合が多いが,発行する地方自治体数は増加の一途である.
しかし,ミニ公募債は流通量が少なく,発行や売買の参考となる価格情報が乏しい.そして,発行額が少ない場合,人的資源による継続的な価格付けはコスト面での負担が大きい.
そこで,財政力指数,経常収支比率などの地方自治体の財政指標を用いて,機械的な価格算出を行った.企業会計と公会計の違いなどデータ面での制約はあるが,
実務的には発行後の金融機関による買取価格の参考値など様々な用途での利用が期待される. |
「生産関数の統計的推測に基づく倒産企業の効率性分析」 小西 葉子* (日本学術振興会特別研究員),西山 慶彦 (京都大学経済研究所) 安道 知寛 (九州大学大学院数理学府),川崎 能典 (統計数理研究所) |
生産関数は経済学上様々な意味で重要な位置づけにあり,その統計的推測は実証分析上極めて重要な問題である.
多くの理論研究・実証研究では,コブ・ダグラス型とトランスログ型と呼ばれる,比較的単純で数学的な取り扱いの簡便なモデルが生産関数として仮定される.
しかし,回帰関数型の定式化に誤りがあった場合,パラメータに関する統計的推測の結果は一般に信頼できず,導出されたインプリケーションは誤ったものになる.
本稿では,製造業と非製造業の1965 年から2001 年までの東京証券取引所一部上場企業を分析対象とする.まずノンパラメトリック検定によって,コブ・ダグラス型,
トランスログ型という既存のパラメトリックモデルが生産関数として適切か否かを検証する.次に,回帰関数に関する仮定を排除したノンパラメトリック推定を,
B-スプライン関数を基底関数に取った一般化加法モデルによって行う.その際,推定量の安定性を確保するために罰則付き最尤法による推定を行い,平滑化パラメータ,
基底関数の個数の選択については一般化情報量規準GIC の枠組みに基づいて選択規準を与える.以上の生産関数の統計解析により生産要素に関する効率性を定義した上で,
東証一部上場企業の倒産動向を捉え,倒産企業に対して効率性分析を行う. |
「金融市場における動的な因果関係の検出」 田野倉 葉子* (総合研究大学院大学),北川 源四郎 (統計数理研究所) |
経済システムや脳の情報処理システム等のフィードバックが存在する多変量ダイナミックシステムでは,
複数の変数がお互いに影響を及ぼしあいながら時系列的に変動しており,その変動構造や因果関係を把握することは容易ではない.
赤池のパワー寄与率はこういったシステムにおけるノイズ源の検出に有効な手段であるが,ノイズ成分間の無相関性を仮定しているため,
系列間の高い相関がしばしば見受けられる経済時系列などのシステムには適用できない.この問題を緩和するために,本稿は変数間の相関をモデル化し,
拡張したパワー寄与率を提案する.これにより変数相互間の変動の原因と影響の度合いを定量的に評価し,動的な因果関係の検出が可能となった.
新しいパワー寄与率の適用により,金融市場における変動特性や検出された動的な因果関係について報告を行う. |
「NIG 分布を用いたオプションの価格付け」 河合 研一 (広島大学大学院社会科学研究科) |
オプション評価における原資産の収益率は,正規分布よりも裾野の厚い Generalized
Hyperbolic (GH) 分布のパラメータを変えることによって派生する分布の方が,当てはまりの良いことが知られている.
本稿では,最初に正規分布と GH 分布から派生する Normal Inverse Gaussian
(NIG) 分布を用いて日経平均株価の収益率に関する比較を行う. 次に,ブラック・ショールズ・モデルから計算される日経225オプションの理論価格と市場価格との乖離をベンチマークとして,NIG
分布の下でオプション価格を計算し, 実際のオプション価格の動きをどの程度正確に捉えることができるか比較・検証する. |
"A Note on Tests of Multivariate Density Forecasts" 石田 功 (東京大学大学院 経済学研究科) |
We propose a probability integral transform method for evaluating multivariate conditional density forecasts,
which has the method of Diebold, Hahn, and Tay (1999) as a special case, and explore power properties with simple examples.
We also show that our new evaluating method is useful for comparing multiperiod financial volatility forecasts produced by different models. |
"Consumption and Portfolio Decisions in an Economy with Jump and Volatility Risk" 安達 哲也 (日興コーディアル証券 投資運用室) |
This study provides a framework to study an agent's optimal dynamic consumption and portfolio decisions in an incomplete market
with jump and volatility risk. Merton (1969, 1971) shows that if securities prices follow diffusions with stochastic drift and diffusion coefficients,
a non-linear partial differential equation (PDE) must be solved to derive optimal consumption and portfolio rules. A closed-form solution to this PDE
is generally not available, except for the case of log utility and when markets are complete. Introducing both jumps and stochastic volatility in
securities prices creates additional difficulties in solving a generalized version of Merton's PDE when the distribution of jump-size is continuous.
The resulting PDE includes integral terms, which are implicit functions of both the solution to the PDE and the state variables.
The fact that these integral terms cannot be explicitly expressed as a function of the solution to the PDE and the state variables makes the PDE hard to solve.
To overcome the difficulty in solving a problem with jumps and stochastic volatility, we use the perturbative method to derive approximate solutions to our model.
A perturbative solution is a polynomial approximation derived from an asymptotic expansion around a closed-form solution at a steady state.
The implicit function theorem is used to derive each perturbative approximation term in the polynomial.
Solutions using the perturbative method are easy to compute and have been shown to be relatively accurate in applications.
In this study we show how the perturbative method can be applied to our problem. |